ドイツの大学と応用科学大学

ドイツの大学の制度/ ドイツ大学の種類

ドイツの大学制度

ドイツの大学は、いくつかの異なる高等教育機関からなり、それぞれ違ったアプローチをします。ここでは、現在の高等教育機関の種類や、その違いの概要について理解いただけます。英語名・日本語名ではその違いは分かりにくく、見分けが難しかったりします。

大学Uniと応用科学大学FHが、主な2つの高等教育機関です。どちらも日本の4年制大学と同じ卒業資格が取得できます。この2つの高等教育機関は、よく対極的なアプローチをしますが、ボローニャ・プロセス(ヨーロッパの高等教育機関を比較しやすくした)の結果、大学Uniと応用科学大学FHは、正式に同じレベルの高等教育機関であり、どちらでも学士・修士の取得が可能としました。しかし、1つの点では未だ異なり、博士号は大学でないと取得できません。

大学 (Universität/ UNI)

大学は研究機関であり、教育方法は論理的なアプローチをします。卒業論文を公表したり、出版物に名前を出すことも珍しくはありません。大学の学士は3年間で、修士は2年間です。授業科目の選択は、とても柔軟で、どの順番で履修するか自由が利きます。一般的に、必修科目についてはある程度まで学ぶ必要がありますが、それ以外は、自身が興味がある分野を深められ、それに沿う科目選択が可能です。授業への出席は、多くの場合必要とされません。この柔軟性の高さから、学生自身の自律が必要となり、学生自身がどれだけ頑張るかが、結果として反映されます。多くの学生がアルバイトをしており、場合によっては、休学してアルバイトにフルタイムで入る人もいます。学費が無料で、どの学期にどの教科を履修するという決まりがないので、自分のペースで休学も自由にできます。

工科大学 (Technische Universität/ TU)

Uniのひとつで、工科大学TUは名前の通り、技術面にフォーカスした大学で、工学やITにおいて高い定評があります。特にTU9はドイツで最も強い9つの工科大学のことを指します。工科大学でも注意が必要なのはKarlsruhe Institute of Technologyで、工科大学ですが、英語名では“Institute of Technology”となっています。“Institute of Technology”という表現は法律上で定められていないため、後述するTHという高等教育機関でも“Institute of Technology”という表現を使っています。TUかTHかを判断する、私たちがおススメする方法は、大学のドイツ語名を見ることです。

応用科学大学 (Fachhochschule/ FH)

ドイツ語ではFachhochschulen (FHs)と呼ばれ、応用科学大学、専門大学、専門科学大学などと翻訳されます。科学といっても、ビジネスなども学べますので、理系専門の大学という訳ではないです。大学Uniとは違う面が多くあります。まず、応用科学大学FHは実践にフォーカスした教育で、専攻もより特定されています。在学中に半年間のインターンシップが必須なことが多く、それもカリキュラムの一部となっています。学士の期間も3.5年間と長めで、4年間である場合もあります。その他のUniとの違いとしては、自由度が低い点で、ルールが決められており、通常、授業への出席が必須であったり、1クラスの人数が少なく、学生個人にフォーカスしています。在学中のアルバイトも可能ですが、少し授業との両立が難しい場合もあります。

学部によっては、応用科学大学FHでは学べないものもあり、医学部、薬学部、法学部、社会科学部などがそうです。

実践にフォーカスしているため、論理や研究には欠いている部分もあり、世界大学ランキングでは論文の引用数などを評価するので、応用科学大学は上位にランクインできません。だからと言って、応用科学大学は良くないと考えるのは間違いで、多くの有名企業が、即戦力となる重点的な教育を受けた応用科学大学の学生を、高く評価しています。

工科大学 (Technische Hochschule/ TH)

応用科学大学FHのひとつで、工科大学TUと似ていますが、より応用科学分野にフォーカスしています。

ドイツの大学制度からして、大学と応用科学大学はどちらが良い?

これは学生によって異なります。大学Uniは自発的で、自分でモチベーションを保てる人に向き、応用科学大学FHはより指導がしっかりしています。私たちの経験から、応用科学大学であれば実践的なので、学士取得後の就職に向く一方、大学Uniの学生は修士まで進むことが比較的多いです。ちなみに、大学でも応用科学大学でも途中からもう一方に編入することが可能です。

大学Uni応用科学大学FH
フォーカス論理的&研究志向 実践的
教育のプロセス柔軟性が高い、選択科目が多い厳しい、選択科目は少ない
クラスの人数多く、個人的ではない少なく、個人向け
出席選択可能であることが多いほとんど必須
期間3年間(180単位)3.5~4年(210~240単位)
大学と応用科学大学の比較表

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